まず始めに

民法改正の歴史的背景

1.現行の民法の条文が簡略すぎる。

自らの都合や利害によって解釈を変える事ができる。
現在のところ実際の運用は判例に基づいて運用されている。
そこを明文化し分かりやすくするのが目的の一つである。

2.旧民法は制定から100年以上経過しており現代社会状況に適合していないから。

100年の間に日本は戦争や復興、高度成長、バブル崩壊を経験し現在は低金利が続いています。
今回はそれに対応するための改正になります。

期間

2020年4月1日からの契約に改正民法が適用されます。
それ以前の契約で現在も継続中の賃貸契約等はは改正前民法が適用となります。

不動産売買契約に関して

手付解除

改正前民法第557条
手付買主が売主に手付を交付したときは当事者の一方が契約の履行に着手するまでは買主はその手付を放棄し売主はその倍額を償還して契約の解除をすることができる
改正後民法第557条手付
買主が売主に手つきを交付した時は飼い主はその手付を放棄し売主はその倍額を現実に提供して契約の解除をすることができるただしその相手方が契約の履行に着手した後はこの限りでない。

売主が手付解除する場合には現実に倍返し金を提供をしてという文言が明確になった。
履行の着手の部分と現実に倍返し金を提供
すると言うところが具体的に明文化されましたが実務上の影響はほとんどありません。
実務上の影響は全くありません。

 

危険負担

買主負担から売主負担へ
改正前民法第534条(債権者の危険負担)
特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合においてそのものが債務者建物引渡債務を負っている売主の責に帰すことができない事由によって滅失し又は損傷したときはその滅失又は損傷は債権者建物の引き渡しの権利を有する買主の負担に帰する
改正民法第534条
当事者双方の責に帰すことのできない理由によって債務を履行することができなくなった時は債権者買主は反対給付の履行を代金の支払いを拒むことができる

改正前は契約終了後引き渡し完了での間の危険負担は買主が負担することになっておりました。
改正後は契約後引渡しまでの間の建物の滅失損傷は売主が負担するということになりました。
しかし
民法改正前から不動産の実務では改正前民法とは全く逆に売買目的物が買主に引き渡し前に滅失毀損した場合には売主は代金を請求できないと契約で特約をすることが常識になっておりました
実情では特約を設けて買主の保護に当たっていました。
結果的に
実務上の影響は全くありません。

改正前契約書条文

改正後契約書条文

 

契約不適合責任(瑕疵担保責任)

本題になります。
瑕疵→契約不適合
表現が変わりました。
改正前民法では債務不履行と瑕疵担保責任は別の問題として切り離して考えてました。
つまり
買主は物件の引き渡し後物件の瑕疵が表面化しても契約解除することは非常に難しいことでした。
改正後は債務不履行をひとくくりとしまして契約解除及び損害賠償ができる。
改正前民法の場合は損害賠償の請求ができ目的が達成できない場合に契約解除ができました。
しかし
買主にとってはハードルが高いものでした。
実際のところ
損害賠償請求には売主の帰責事由が必要になります。 なので売主が自ら過失を認めない場合、売主は損害賠償責任を請求するのは難しくなります。
過失を認めて初めて損害賠償請求ができます。
トラブルが発生して売主自ら非を認める事はなかなか想定しづらいですね。
相手方の過失を立証するのは簡単なことではありません。
なぜなら裁判は証拠主義だからです。
結果的に
買主が泣き寝入りするケースがほとんどです。
損害賠償請求はハードルが高いのです。
それで今回の改正により
債務不履行を理由とする損害賠償請求でなく契約不適合責任として契約不適合責任を売主に請求することができるようになりました。

瑕疵担保責任  → 契約不適合責任
結論が言いますと
買主の救済選択肢がました。
買主の追完請求権
買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
代金減額請求権
買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
つまり損害賠償を行使できるオプションが民法上では増えたことになります。
そういう意味では今回の改正は買主の味方になるような法改正であったということが推測できます。

改正前契約書条文

改正後契約書条文

結論

現行の不動産取引の商習慣を法体型が追いついたと認識できるかもしれません
しかしながら
投資家の皆様は物件を購入しまた売却する機会が一般の方と比較して多くあります。
ですから今回の民法改正が不動産の取引がどのように影響してくるのかというのを理解するのは不動産投資を成功するさせるための重要な要素になってくると思われます。
そしてこの民法というのはあくまでも任意規定になりますので契約自由の原則(もちろん双方の合意が必要ですが)に則ってまだ自分の立ち位置(売主か買主か)により改正民法を活用したり制限したりすることによって契約後のトラブルを未然に防いだりもしくは契約後の不具合に対して救済してもらえるように作ることもできます。
法律をうまく運用する資産運用成功の近道であることは間違いありません。